緑の流れが、空気を伝う。温度はもうすでに醗酵をおえ落ち着いた雰囲気で、新鮮な優しさを持つ。
水田がチョコレートの味で視覚を惑わす。そんな気はさらさら無いのだけれど、どうしてまたこんなにも耳に静かに染みる雨音。
木々は上に伸びる。土は下に流れる。私はただの人として、左右に戸惑って歩く。
目の前の色すら、疑うほど何のよどみも無い空間が、私の息を水色にしたような錯覚に酔わせた。

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