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ただ単純に恋の唄

コンクリートに這いつくばり、真冬の雨に濡れる子供の赤い手袋みたいに。
世界の寂しさが、ココに集約された様な風景に、時折私は、一歩も前に進めなくなる。膝をだるま崩しのように叩き抜かれて、そのまま崩れ落ちてしまいそうだ。
そんな時、いつも貴方の寡黙な皮膚に触れ、私は子猫の様に弱くなる事ができた。私はいつも安心しきっていた。
雨は降り続く。ただの道端で、私は弱くなる事も出来ずに、涙さえ無意味にしていく。
貴方は多分、死んでしまったし。私は多分、生きるのだ。
強いまま。私は強く。
誰の胸も、どんな色の皮膚にも、貴方に勝る物は無かった。
そうして、相変わらず私は、左手に窮屈な手袋をして、下を向く。探しているわけではないのよ。見つめているわけではないのよ。息が苦しい。体の割りに、余りにも小さな肺を持っているから。体を丸めて、私を世界の黒点にしてください。
貴方は、死んだ。貴方は、数センチ先で息をするのに。

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