お菓子の涙

女は自分がイチゴのショートケーキになる夢を見た
大切に大切に食べられる夢をみた
しかし、女の現実はスナック菓子だった
目の前にあるからついつい口寂しいときにつまんでしまえる、スナック菓子だった
食べ過ぎた後、必ず後悔されるスナック菓子だった
女は十分に分かっていた
別に、私がポテトチップスだろうが、エビセンだろうが食べられるって事を
だから、わざとに味を変えてみたりした
それでも、やっぱりつまんで食べられた、そして必ず後味をお茶で流し込まれた
女は何味になろうが、いつまでたってもただのスナック菓子
イチゴのショートケーキにはかなわない
せめても、とパッケージだけ綺麗にしてみても、それでもただのスナック菓子
女は涙を流した、脂ぎった体は水分を含み、ぶよぶよに変化する
ああ、駄目だ
だってスナック菓子の取り得はカラッとしてるところ・・・
そんなスナック菓子が涙を流すなんて、自ら商品価値を下げる様な事
乾いた涙が、スナック菓子の塩味を少し強くさせた

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